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№4-2 断熱 ~新築編~
前回はリフォーム編を書きましたが今回は新築の場合の私の考えを書きます。
リフォームの場合と違い、新築の場合は断熱や気密は比較的取りやすいので家全体で考えることが大切だと考えます。この宇部山口美祢地域(5・6地域)でも冬は氷点下になり、夏場は40度に迫る時もあります。温度差は40度以上です。それに耐えうる住宅は性能も高いものでないといけません。ただ安い断熱材を厚くして断熱性能だけを机上の計算で上げ、かつ気密もしっかりとれていない家は本末転倒です。そこで今回は断熱材の意味を考えてお話いたします。
断熱の考え方
断熱の考え方ですが2つあると考えています。
①住む人が快適になる断熱・気密
②建物を長持ちさせるための断熱
まず①の住む人が快適になる断熱・気密方法についてお話します。皆さんご存じの通り、快適な家は断熱性能と気密性能が高い住宅です。断熱を行うには気密がないと成り立ちません。両方があって冬暖かい住宅になります。
ただし温度差の少ない暖かい住宅にするには最低でもG2グレードの断熱性能と、住宅開放的な間取りと緩やかな連続暖房が必要です。このようにすることで家全体が寒くない家にできます。(トイレや脱衣室等も)
このような住宅にしやすい方法の断熱方法として充填断熱が挙げられます。なぜかというとそれは断熱材の特徴にあるのです。断熱材はあっためにくいですが温まると冷めにくいのです。(蓄熱効果)これは裏を返すと温まるのにそれだけの熱の容量が必要ということです。そのため断熱性能の高い住宅は断熱材を冷やしたり温めたりするような間欠暖房をするより、連続運転を行う連続暖房がエアコンの消費電力も抑えられ、家じゅうが暖かいということになるのです。あくまでも高性能断熱・気密な住宅が対象となります。
先ほど話をしましたが断熱材が熱を蓄熱するということは、その温まった断熱材からの輻射熱を恩恵を受けやすいのは室内に近い充填断熱です。そのため温かさを感じるには室内に近い充填断熱が有利なのです。)
②建物を長持ちさせるための断熱性能については充填断熱では難しいのです。以前基礎のお話の時にもお話ししましたが、現在の建物は地震に耐えるため金属の金物で接合部を補強します。その金属が外気に接しっているところと室内に接しているところで温度差が発生します。そこでで結露が発生します。これでその金物の周りが結露水で濡れてしまい、長い年月が経つと腐れにつながったり、そこまでいかないにしても強度の低下を招く恐れがあるのです。これが考えられる部位は柱と梁の接合部と、基礎と土台をつなぐアンカーボルトです。金物メーカーではこれがわかっておりさびにくい金物を出していらっしゃいますが、腐らない金物よりも結露水で木が腐るほうが被害の進行が速く、そこを対応をするのが家のためだと思うのです。
これに対応するための断熱方法としては外断熱となります。
断熱方法の結論
私が考える適切な断熱方法は、①と②の断熱を合わせる複合断熱となります。この断熱方法は寒い地域やヨーロッパでは行われており、5・6地域でこのような断熱までいるのかという意見もありますが、新築の時は複合断熱(充填断熱と外断熱)を行い、木造住宅をより長く快適に住む建物とすることが必要だと考えます。ただし建物コストは外断熱をすることは屋根を2重に下地を作らなければいけない等、費用は掛かります。そのため②の断熱は家の資産としての価値をどう判断するかによってお施主様と相談して最終決定します。最低でも気密の高い高性能な充填断熱と気密ならびに金物が結露しいにくい工夫です。ここは経験と施工技術が必要となります。
ただ断熱性能を上げることによっておこる弊害もあります。それは夏の熱ごもりです。断熱をあげていくということは蓄熱材が多くなり、小屋裏が熱くなる可能性が多いのです。熱くさせない対応としては適切な窓配置と、換気方法ならびにエアコンの設置場所が関係してきます。こちらはまた今度お話いたします。
以上断熱方法についてお話いたしましたが次回は断熱についてのうんちくと、今までの実験についてお話しいたします。