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木材利用専門技術研修に参加してきました
昨日山口県主催の木材利用専門技術研修が開かれ参加してきました。
内容としては午前中は安井先生による「木造建築物の防耐火設計」による講義でした。
講義の内容は目にうろこの内容が多くありました。
火災について
木造だから火災が起きるのではなく燃えやすいものがあるところに火と酸素があれば置きます。室内に燃えやすいものがある環境ではRCでも鉄骨でも木造でも火災が起きる確率は一緒です。ただ木造は可燃物であるがゆえに火災後大きく焼け落ちた構造躯体を見ると被害が大きく見えますし、大きく報道されます。
そのため火災から身を守る安全対策として
①火を出さない 出火防止 個人対応
②火災を早く見つける 早期発見 個人対応
③火を消す 初期消火 個人・建築対応
④火災を閉じ込める 区画化 建築対応
⑤煙から守る 煙制御 建築対応
⑥逃げる 避難安全 建築対応
⑦消防に助けてもらう 消防支援 都市機能対応
⑧災害弱者を守る 弱者対応 都市機能対応
⑨火災で倒れない 倒壊防止 建築対応
木造がRC構造等に劣っていることは9番の火災で倒れないということくらいです。現在の建物は大きな建物は準耐火建物等と指示してあり30分以上は避難を要しても倒れないようになっています。
そこで言われていたのは天井に木質材料を使うと燃え広がるということです。使用箇所や建物形状に照らし合わせて今後いろいろと提案していきたいと思います。
木の燃える条件
木が燃えるには表面積が多いと燃えやすくその温度が260°にならないと火はつきません。そのため体積の大きい構造材は最初に炭化して燃え止まりますがそれ以上継続して加熱されなければ燃え続けないのです。しかも木には含水しているため(10%程度は水が含まれている状態です)その水が水蒸気となりなくなるまで燃え広がるのを防ぐ機能があります。どれだけ強い火をつけても燃え進むのは1分間で1mmです。3cmの板厚があれば30分耐えれることになります。
しかも木には断熱性能があるため反対の面には熱の伝達が遅くなります。これは水分を含んでいるのと気泡があるため写真のような状況でも反対側に人が立っていられます。金属だとはそうはいかないでしょう。
皆さんもキャンプや薪に火をつける際小さな薪から大きな薪をくべていくように最初からは大きな柱や梁には火が付かないのです
木造3階建て校舎実大火災実験
2012年~2013年にかけて実台火災実験を行われたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?
安井先生はこの実験にも関わられその火災の検証を行われています。
最初の燃える学校の「予備実験」では、仮想職員室に実際の職員室にある書類等が燃えた場合の熱量を想定した薪がおかれ、そこに着火された映像を見ましたが火は木質の天井を火が走って燃え広がっていました。こかなり恐ろしい状況でした。
その後の準備実験・本実験では対策がされ多様で、見るからに燃え広がりが少なくなり耐火性能が上がっていました。この実験の結果今年建築基準法の改定が行われています。
今回の方改定ではより木造の建物が建てやすくなっており、今後木造の普及が進むことを祈っています。
今回のお話を伺い木造の火に対する安全性がだいぶ緩和でき、自分でも整理できたのはとてもありがたかったです。前日入りをされて夜から一緒させていただき様々なことをお聞きできたことはよかったです。
明日は午後にあった現場見学についてお話したいと思います。